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ごめんね。

君がいたから私は今でも生きている。

私が包丁を握りしめて台所で泣いていたあの日。
君はじっと私の前に座り、私を見つめて、それからただ一声「にゃあ」と鳴いた。
私はそれで包丁をしまい、空いた両手で君を抱いた。
君は温かくて柔らかくて、そのぬくもりが私に「生きろ」と言ってくれているようだった。

君はいつだってそうしてくれていた。
私がふさぎ込んだ日には枕元に。
私が癇癪を起こせば駆け寄って宥め。
私が不安に怯えれば寄り添ってくれた。

君がいたから私は今でも生きている。

だから君に死の病魔が忍び寄るというならば、
私は何を犠牲にしても君を守りたいと思う。
手術にお金が必要ならば働こう。
私の希望する職業で充分な費用が得られないなら、進路も変えよう。
私の将来?ああ、そんなものはどうだって良いんだ。
だって考えてもごらんよ。
君がいなければ、私はあの日に死んでいたのだろうから。

お母さんは言ったよ。
「自分の人生を考えなさい」と。
それなら私は答えるよ。
「この子に恩を返すこともしないで、何が人生だ」と。
私の人生は、確実に私よりも先に死ぬだろうこの小さな命に左右されている。
お母さんはそれが気に入らないんだろうね。それは親としてまったく順当な不満だよ。
だけどねお母さん。
分かってほしい。
もしも私ができること全てをやってこの命が失われてしまうのならば、泣きはしても諦めもつくだろう。
だけどそうでなくて、一ミリでも自分のことだけを考えてしまった瞬間があったならば、私は生きてはいけないだろう。

これはこの子の命の問題でもあるけれど、私の命の問題でもあるんだよ。
命が大事だというならば、私の人生をこの子に捧げさせてください。
私に義を通させてください。
これは脅迫ではなくお願いです。

どうか・どうか・どうか……。

だけど君が人間だったらば、私を叱ったかもしれないね。
お母さんと同じように、私を叱ったかもしれないね。

だから、私を心配してくれる全ての人と君へ。





「ごめんね」

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11歳の愛猫が子宮蓄膿症という病気になりました。
子宮を摘出しない限り、治っても再発率は非常に高いそうです。
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UTAUで話そう。

えー…今回はちょっとお遊びです。

私の姉が、まぁフリーソフトで遊ぶのが好きで何でもやるんですが。
皆さんは『UTAU』というソフトをご存知ですか?
私はよく知らないんですが。←
自分の音声を取り込んで歌を歌わせることができるらしいのですが、『花篭』というプラグインで喋らせることも可能なのだそうで。

そこで作ってくれました。

『コンニチハ。私の名前はハルです。』
↓↓↓


機械が入っていますし、録音ですから実際の声とはちょっと違いますけども。

いかがでしたでしょうか?滑舌は恐ろしく悪いですね。(笑
私は機械に弱いのでこういう遊びはできないのですが、こういうことができる人は純粋にすごいな。と思います。

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遠い国の友人。そしてその宗教。

突然ですが。
私は高校卒業してすぐの18~19歳にかけて、ニュージーランドという国に語学留学をしていました。

ニュージーランドはオセアニア地方にある島国。オーストラリアの隣にポツンとある小さな国です。
気候は日本と似ていて四季があります。

私は語学留学…つまり語学学校に通っていたわけですから、ニュージーランド人との出会いよりもニュージーランドに英語を学びに来ている外国の人たちとの出会いの方が多くありました。
中でも私が親しくしてもらっていたのは、サウジアラビアの人でした。当然彼らはイスラム教徒です。(サウジアラビアは国教がイスラム教なのです)

このサウジアラビアの友人の中の一人に、私が『ユバ』と呼んでいた人がいます。
『ユバ』というのはアラビア語で『お父さん』という意味なのだそうです。方言かもしれませんが。
ユバは父親のように私を見守り、優しく守ってくれました。彼はよく私を『daughter(娘)』と呼びました。今でもそう呼んでくれます。
そしてユバはとても敬虔なイスラム教徒でした。ユバを囲むサウジアラビアの仲間たちも、ユバに倣うようにイスラムの教えを忠実に守る人たちでした。
彼らは毎日お祈りし、お酒を飲まず、豚を食べず、そしてとても親切でした。

さて。何故、親切=敬虔なイスラム教徒と定義したのでしょう?
それはユバが私に教えてくれたことです。
「ハル、知ってるかい?僕らは人々に親切でなければならない。
 それは何故か。
 すべての人は神様がつくられた命だから、たとえそれがイスラム教徒でなくても僕らはそれを大事にして、親切にするんだよ。それがムスリム(イスラム教徒)なんだ」
当時すでに同時多発テロの影響がありイスラム教徒は危険視されがちでしたが、本当のイスラム教はそうではないのです。
一部の人は私に言いました。
「彼らと一緒にいてはいけないよ」
「彼らは危険なんだ」
それは誤解だと、私は知っています。

私はイスラム教徒ありませんし、イスラム教を研究したこともないので、私自身がイスラム教を語ることは適切ではないかもしれません。
だけど私は、彼らが危険視されていることにとても強い悲しみを抱いています。
すべてのイスラム教徒がユバと同じように考えているかどうかは分かりません。
けれどイスラムの教えはユバのような解釈をもつこともできるのだと思います。
それだけでも、イスラム教そのものが悪い宗教というわけではないということが分かります。

なぜこのような話をしたのかというと、私は今日ユバの夢を見て、そしてテレビでサウジアラビアとイスラム教を紹介していたからです(池上彰さんが大変中立の立場で分かりやすい解説をしておられました。21時21分現在まだ番組は続いておりますが)。
偶然にもこの2つが重なって、皆さんがもし誤解を抱いているのなら私もその誤解を解く一助になりたい。それがユバに対する友情の証でもある。と思い、今回このようなお話をさせていただいたわけです。
長文になってしまいましたが、最後までお読みいただいてありがとうございました。

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底なしの器と有限の泉

「君は自分で望むほどには愛されない子どもだね」
そう言って私を憐れんだ先生。

違うよ先生。
私は愛されていないんじゃない。
どれだけ愛されても満足できない
欲張りで我儘な子どもなんだよ。
私はいつも愛を求めて
愛されても愛されても
もっともっとと駄々をこねた。
泣いても喚いても
底なしの器を満たす術などないというのに。

だけどね先生。
大人になった私はちゃんと分別をもつことができる。
愛情はどこからでも湧いてくるものではないし
その泉には限界がある。
それは考えようによっては寂しいことだけど
だけどそれが真実なんだ。

それでもね先生。
私は今でも愛に飢えているのかもしれない。
大人になった今でも底なしの器を抱えて泣いているのかもしれない。
愛が無限ではないという真実を知りながら
それでも諦めきれないただの子供なのかもしれない。

ねぇ先生。
結局教えてくれなかったね。
どうすれば私が満たされるのか。
どうすれば愛を諦めきれるのか。
そんな方法はこの世のどこにもないのかな。
だから私はいつまでもいつまでも泣き続けることしかできないのかな。

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謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。

本年が皆様にとってより良い年となるようお祈り申し上げます。


個人的な事を申し上げますと、昨年はグレーゾーンの多いすっきりしない年でありました。

しかし今年は!

今年はそういったもの一切に惑わされない強い意志をもって生きていきたく存じます。

それが今年の抱負です。


それでは皆様、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

                                    

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